認定試験対策ゼミナール -脈管専門医・血管診療技師・脳神経超音波検査士-
尾崎俊也(社団医療法人トラストクリニック 臨床検査課長)
今回の予想問題出題のねらい
日本超音波医学会の『超音波による頸動脈病変の標準的評価法』が8年ぶりに日本脳神経超音波医学会と共同で改訂され、2月に公示されました。そこで、CVT認定試験において出題率が高いと予想される頸動脈超音波検査について、今回改訂された点を中心に出題します。
受験者へのアドバイス
今回の改訂では、推奨度とエビデンスレベルや用語の解説、頸部血管疾患の評価および診断が追加されました。さらにIMT、プラーク、狭窄病変についての評価および診断が詳細に記載され、また一部変更された点が挙げられます。これらを中心に『超音波による頸動脈病変の標準的評価法2017』を熟読して認定試験に臨んでください。
■予想問題
■問題1 以下の関連用語について正しいものはどれか?
解答1 ⑤
①血管遠位壁のIMTは、血管内腔側の高エコー層と、その外側の高エコー層の共に上縁(leading edge)間の距離を計測する。また、近位壁のIMTは、血管内腔側の高エコー層と、その外側の高エコー層の共に下縁(trailing edge)を計測する。
②IMT-C10は、一定部位のIMT計測項目として用いられている。計測部位は遠位壁における総頸動脈と頸動脈洞の移行部より中枢側10mmとされている。
③TAMVは各時相の最大流速を時間平均して求めた値で、マニュアルトレースでの計測が可能で、臨床的にも平均血流速度(Vmean)として扱われる。TAVは装置に内蔵された自動トレース機能が必要で、血管内の血流速度分布が考慮され、血流量を求める際に用いられる。
④拍動係数(PI)は、収縮期最大血流速度(PSV)と拡張末期血流速度(EDV)の差を時間平均最大血流速度(TAMV)で除した値で、収縮期最大血流速度(PSV)で除した値は抵抗係数(resistance index:RI)となる。
⑤総頸動脈ED ratioは、脳梗塞「急性期」での臨床的意義が高く、常に1以上の値を示す。
認定試験対策ゼミナール -脈管専門医・血管診療技師・脳神経超音波検査士-
2006年、血管外科学会、脈管学会、静脈学会の3学会構成(2014年からは日本動脈硬化学会も構成学会の一つとなる)による血管診療技師認定機構が発足し、日本におけるCVT(血管診療技師)が誕生した。発足から着実にCVT者数は増え、日本にその地位は根付き、活動の幅をどんどん広めてきた。そして『Vascular Lab』も、CVT誕生からの10年間、その歩みとともにCVTの方々に愛され続けてきた雑誌である。『Vascular Lab』は、いまはその役目をひとまず終えたが、その本誌の中で連載されてきた「認定試験対策ゼミナール」は、いまも変わらず必要としている人が多くおられ、復活を願う声が多く寄せられた。これを受け、同連載を、新しいウェブマガジンで提供していくこととした。
本連載は、血管診療の第一線で活躍する医師や、CVTを取得し全国で活躍する技師の方々に、これからCVTや専門医を取得するために勉強をされる皆さまのために、試験の傾向や対策、臨床で必要とされる知識などを問題形式でご執筆いただいている。
これからの未来、多くのCVT・専門医が全国で活躍し、脈管疾患検査が発展していくことを願う。
324円/1記事(税込)
毎月10日発行(著者および編集の都合により発行が前後することがございます)
筆者プロフィール
土田博光:誠潤会水戸病院/小谷敦志:近畿大学医学部奈良病院/尾崎俊也:医療法人清祥会川上内科/駒井宏好:関西医科大学総合医療センター/浅岡伸光:八尾市立病院/春田直樹:たかの橋中央病院
土田博光/小谷敦志/尾崎俊也/駒井宏好/浅岡伸光/春田直樹ほか