認定試験対策ゼミナール -脈管専門医・血管診療技師・脳神経超音波検査士-
春田直樹(仁鷹会たかの橋中央病院 血管外科部長)
今回の予想問題出題のねらい
下肢静脈瘤治療において、血管内焼灼術の普及に伴い、従来のストリッピング術とは異なる特徴的な合併症である熱による神経障害と深部静脈血栓症の問題が生じてきた。また、ポリドカスクレロールのフォーム使用に関しては、2016年9月に添付文書に記載された。下肢静脈疾患に関して、今後これらの最新の治療法に関連する出題が多いことが予想される。そこで今回、特に治療に関しては焼灼術とフォーム硬化療法に言及した。
受験者へのアドバイス
下肢静脈瘤診断はもとより血管内焼灼術において、術中超音波検査は必須の手技であり、CVTとして手術参加されている人や、脈管専門医として血管内焼灼術を実施されている人は多いと思います。下肢静脈瘤診断・治療において、鼠径部の解剖、特に大腿動静脈と大伏在静脈の解剖の理解は必須です。下肢静脈の解剖・生理を基礎知識として身につけたうえで、EHIT(endovenous heat-induced thrombosis)や硬化療法の注意点を理解してください。
■予想問題
■問題1 下肢脈管系に対する超音波検査法について、以下のうち正しいものはどれか。
解答1 ②
下肢静脈系の超音波検査時に、理解しておかなくてはならない解剖に関する出題とした。
①通常大腿動脈の内側深層に大腿静脈が走行する。
②鼠径部の超音波検査時知っておくべき基礎知識である。
③鼠径部より膝方向に大伏在静脈を描出する場合、膝方向に進むほど、内側に向かって走行する。
④コケット(Cockett)は下腿の穿通枝である。
⑤前方から前脛骨静脈を描出し、膝方向に進むと下腿骨間膜を貫き、脛骨後面に走行するため、通常は膝窩静脈に合流するところを前方からは描出できない。
認定試験対策ゼミナール -脈管専門医・血管診療技師・脳神経超音波検査士-
2006年、血管外科学会、脈管学会、静脈学会の3学会構成(2014年からは日本動脈硬化学会も構成学会の一つとなる)による血管診療技師認定機構が発足し、日本におけるCVT(血管診療技師)が誕生した。発足から着実にCVT者数は増え、日本にその地位は根付き、活動の幅をどんどん広めてきた。そして『Vascular Lab』も、CVT誕生からの10年間、その歩みとともにCVTの方々に愛され続けてきた雑誌である。『Vascular Lab』は、いまはその役目をひとまず終えたが、その本誌の中で連載されてきた「認定試験対策ゼミナール」は、いまも変わらず必要としている人が多くおられ、復活を願う声が多く寄せられた。これを受け、同連載を、新しいウェブマガジンで提供していくこととした。
本連載は、血管診療の第一線で活躍する医師や、CVTを取得し全国で活躍する技師の方々に、これからCVTや専門医を取得するために勉強をされる皆さまのために、試験の傾向や対策、臨床で必要とされる知識などを問題形式でご執筆いただいている。
これからの未来、多くのCVT・専門医が全国で活躍し、脈管疾患検査が発展していくことを願う。
324円/1記事(税込)
毎月10日発行(著者および編集の都合により発行が前後することがございます)
筆者プロフィール
土田博光:誠潤会水戸病院/小谷敦志:近畿大学医学部奈良病院/尾崎俊也:医療法人清祥会川上内科/駒井宏好:関西医科大学総合医療センター/浅岡伸光:八尾市立病院/春田直樹:たかの橋中央病院
土田博光/小谷敦志/尾崎俊也/駒井宏好/浅岡伸光/春田直樹ほか