認定試験対策ゼミナール -脈管専門医・血管診療技師・脳神経超音波検査士-
尾崎俊也(社団医療法人トラストクリニック 臨床検査課長)
今回の予想問題出題のねらい
今回は腎動脈狭窄病変に関する出題です。腎臓および腎動脈の解剖、腎動脈狭窄の病態、ドプラ血流検査の方法、腎動脈狭窄の評価など、超音波ドプラ血流検査に関する一連の知識を確認してください。
受験者へのアドバイス
ルーチン業務として腎動脈血流検査に携わっていない方は、解剖等の基礎から評価・診断まで一連の知識を習得してください。また、ルーチン業務に携わっている方は、解剖や病態などの基礎知識の再チェックを試験前に行うことをお勧めします。
■予想問題
■問題1 腎臓および腎動脈の解剖に関する以下の文章で正しいものはどれか?
解答1 ⑤
① 腎臓の平均的なサイズは、長径が10cm、短径が5.5cm、厚みは4cmのソラマメ型で、左腎は右腎に比べ下方に位置し、上極側は下極側に比べ正中側に位置し“ハの字”型を形成する。
② 腎門部では、腎静脈が腎動脈の腹側に、腎盂は腎動脈の背側に位置し、腹側から腎静脈、腎動脈、腎盂が観察される。
③ 腎動脈起始部は、腰椎のL1とL2の椎間円板レベルに位置し、右の腎動脈が下大静脈の背側を走行する。
④ 腎動脈は一般的に腎門部付近で、上区動脈、上前区動脈、下前区動脈、下区動脈、後区動脈の5本の区域動脈に分岐し終動脈となる。
⑤ 腎動脈は左右ともに複数本存在する症例があり、2本は15%前後、3本は1%前後、4本は0.1%前後で観察されるとの報告がある。
認定試験対策ゼミナール -脈管専門医・血管診療技師・脳神経超音波検査士-
2006年、血管外科学会、脈管学会、静脈学会の3学会構成(2014年からは日本動脈硬化学会も構成学会の一つとなる)による血管診療技師認定機構が発足し、日本におけるCVT(血管診療技師)が誕生した。発足から着実にCVT者数は増え、日本にその地位は根付き、活動の幅をどんどん広めてきた。そして『Vascular Lab』も、CVT誕生からの10年間、その歩みとともにCVTの方々に愛され続けてきた雑誌である。『Vascular Lab』は、いまはその役目をひとまず終えたが、その本誌の中で連載されてきた「認定試験対策ゼミナール」は、いまも変わらず必要としている人が多くおられ、復活を願う声が多く寄せられた。これを受け、同連載を、新しいウェブマガジンで提供していくこととした。
本連載は、血管診療の第一線で活躍する医師や、CVTを取得し全国で活躍する技師の方々に、これからCVTや専門医を取得するために勉強をされる皆さまのために、試験の傾向や対策、臨床で必要とされる知識などを問題形式でご執筆いただいている。
これからの未来、多くのCVT・専門医が全国で活躍し、脈管疾患検査が発展していくことを願う。
324円/1記事(税込)
毎月10日発行(著者および編集の都合により発行が前後することがございます)
筆者プロフィール
土田博光:誠潤会水戸病院/小谷敦志:近畿大学医学部奈良病院/尾崎俊也:医療法人清祥会川上内科/駒井宏好:関西医科大学総合医療センター/浅岡伸光:八尾市立病院/春田直樹:たかの橋中央病院
土田博光/小谷敦志/尾崎俊也/駒井宏好/浅岡伸光/春田直樹ほか