認定試験対策ゼミナール -脈管専門医・血管診療技師・脳神経超音波検査士-
執筆者:浅岡伸光(八尾市立病院 中央検査部技師長)
監修:松尾 汎(医療法人松尾クリニック理事長・松尾血管超音波研究室室長)
今回の予想問題出題のねらい
今回は大動脈疾患について設問を考えました。Blue toe症候群、高安動脈炎、急性大動脈解離について、疾患の特徴や診断法、合併症、治療法などについて再度確認してみてください。
受験者へのアドバイス
各領域での診断や治療法の目覚ましい進歩に追随するためには、テキスト以外の参考資料として、ガイドラインにも目を通しておくことをお勧めします。たとえば、日本循環器学会からの『大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン(2011年改訂版)』『末梢閉塞性動脈疾患の治療ガイドライン(2015年改訂版)』『血管炎症候群の診療ガイドライン(2017年改訂版)』などがあります。
■予想問題
■問題1 Blue toe症候群に関する記述で誤っているのはどれか
①本症の確定診断は、皮膚や筋肉内の生検で血管内コレステリン結晶を確認することでなされる。
②足趾のチアノーゼや強い安静時痛とともに、足背動脈、後脛骨動脈の拍動も認められない。
③超音波検査は、CTやMRI等とともに塞栓源となる動脈瘤や粥状硬化病変の診断に有効である。
④本症の塞栓源ともなり得る、大動脈壁にみられるびまん性の毛羽立ち状の粥腫はshaggy aortaと呼ばれる。
⑤血液生化学検査では特異的な所見はないが、白血球増多、赤血球沈降反応亢進等が認められる。
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解答1 ②
Blue toe症候群は、足背動脈、後脛骨動脈の拍動があるにもかかわらず、足趾の冷感やチアノーゼ、強い安静時痛があるのが特徴である。原因は動脈壁の不安定な粥腫や動脈瘤の壁在血栓が破綻し、コレステリン結晶が播種状に末梢へ飛散するためである。明らかな誘因なく発症することもあるが、カテーテル操作などの医原性も少なくないと言われている。
認定試験対策ゼミナール -脈管専門医・血管診療技師・脳神経超音波検査士-
2006年、血管外科学会、脈管学会、静脈学会の3学会構成(2014年からは日本動脈硬化学会も構成学会の一つとなる)による血管診療技師認定機構が発足し、日本におけるCVT(血管診療技師)が誕生した。発足から着実にCVT者数は増え、日本にその地位は根付き、活動の幅をどんどん広めてきた。そして『Vascular Lab』も、CVT誕生からの10年間、その歩みとともにCVTの方々に愛され続けてきた雑誌である。『Vascular Lab』は、いまはその役目をひとまず終えたが、その本誌の中で連載されてきた「認定試験対策ゼミナール」は、いまも変わらず必要としている人が多くおられ、復活を願う声が多く寄せられた。これを受け、同連載を、新しいウェブマガジンで提供していくこととした。
本連載は、血管診療の第一線で活躍する医師や、CVTを取得し全国で活躍する技師の方々に、これからCVTや専門医を取得するために勉強をされる皆さまのために、試験の傾向や対策、臨床で必要とされる知識などを問題形式でご執筆いただいている。
これからの未来、多くのCVT・専門医が全国で活躍し、脈管疾患検査が発展していくことを願う。
324円/1記事(税込)
毎月10日発行(著者および編集の都合により発行が前後することがございます)
筆者プロフィール
土田博光:誠潤会水戸病院/小谷敦志:近畿大学医学部奈良病院/尾崎俊也:医療法人清祥会川上内科/駒井宏好:関西医科大学総合医療センター/浅岡伸光:八尾市立病院/春田直樹:たかの橋中央病院
土田博光/小谷敦志/尾崎俊也/駒井宏好/浅岡伸光/春田直樹ほか