認定試験対策ゼミナール -脈管専門医・血管診療技師・脳神経超音波検査士-
執筆者:駒井宏好
(関西医科大学心臓血管外科学講座/関西医科大学総合医療センター血管外科 教授)
監修:松尾 汎(医療法人松尾クリニック理事長・松尾血管超音波研究室室長)
今回の予想問題出題のねらい
今回は、下肢静脈瘤についての設問と解説である。血管病のなかでは最も有病率の高い疾患であり、医療人としては必ず持っておかなければならない知識が多い。一般市民からは深部静脈血栓症を心配する声が多く聞かれるが、二次性静脈瘤でなければ早急な対応の必要はないことを診療を通じて伝えることが大切である。
受験者へのアドバイス
下肢静脈瘤は、上述のように非常に一般的な疾患であるが、必ずしも根本治療をする必要はない。侵襲的治療の適応を含め、その治療方針は理解しておくことが重要である。
■予想問題
■問題1 下肢静脈瘤について正しいのはどれか
解答1 ④
下肢静脈瘤は一次性の場合、肺血栓塞栓症発症の危険性はそれほど高くない。またうっ滞による皮膚潰瘍を生じることも頻度は低い。弾性ストッキングは症状改善のためには有効であるが治癒はしない。立ち仕事や腹圧のかかる作業は下肢静脈のうっ滞が高度となるため静脈瘤が発症しやすい。静脈瘤を治癒させるための薬物は現在存在しない。
認定試験対策ゼミナール -脈管専門医・血管診療技師・脳神経超音波検査士-
2006年、血管外科学会、脈管学会、静脈学会の3学会構成(2014年からは日本動脈硬化学会も構成学会の一つとなる)による血管診療技師認定機構が発足し、日本におけるCVT(血管診療技師)が誕生した。発足から着実にCVT者数は増え、日本にその地位は根付き、活動の幅をどんどん広めてきた。そして『Vascular Lab』も、CVT誕生からの10年間、その歩みとともにCVTの方々に愛され続けてきた雑誌である。『Vascular Lab』は、いまはその役目をひとまず終えたが、その本誌の中で連載されてきた「認定試験対策ゼミナール」は、いまも変わらず必要としている人が多くおられ、復活を願う声が多く寄せられた。これを受け、同連載を、新しいウェブマガジンで提供していくこととした。
本連載は、血管診療の第一線で活躍する医師や、CVTを取得し全国で活躍する技師の方々に、これからCVTや専門医を取得するために勉強をされる皆さまのために、試験の傾向や対策、臨床で必要とされる知識などを問題形式でご執筆いただいている。
これからの未来、多くのCVT・専門医が全国で活躍し、脈管疾患検査が発展していくことを願う。
324円/1記事(税込)
毎月10日発行(著者および編集の都合により発行が前後することがございます)
筆者プロフィール
土田博光:誠潤会水戸病院/小谷敦志:近畿大学医学部奈良病院/尾崎俊也:医療法人清祥会川上内科/駒井宏好:関西医科大学総合医療センター/浅岡伸光:八尾市立病院/春田直樹:たかの橋中央病院
土田博光/小谷敦志/尾崎俊也/駒井宏好/浅岡伸光/春田直樹ほか