認定試験対策ゼミナール -脈管専門医・血管診療技師・脳神経超音波検査士-
執筆者:駒井宏好
(関西医科大学心臓血管外科学講座/関西医科大学総合医療センター血管外科 教授)
監修:松尾 汎(医療法人松尾クリニック理事長・松尾血管超音波研究室室長)
今回の予想問題出題のねらい
今回は急性動脈閉塞症についての設問と解説である。血栓症と塞栓症があり、いずれも急激な血流の低下による高度障害が生じる病態であり、鑑別診断、治療方針などはわきまえておかなければならない。
受験者へのアドバイス
急性動脈閉塞症は緊急性の高い疾患であり、実臨床では四肢の運命は時間との勝負である。医師のみならず医療従事者全体の意識が高く保たれていなければならない疾患で、試験のみならず臨床の現場でも今回の知識は必要である。
■予想問題
■問題1 急性動脈閉塞について間違っているのはどれか
解答1 ③
急性動脈閉塞症は、血栓によるものと塞栓によるものとがある。いずれも脱水でHtが上昇した状態で起こりやすくなる。塞栓源の最も重要なものは心房細動により生じている心房内血栓である。急性動脈閉塞の予防に効果があるとされている抗血栓薬は抗血小板薬よりむしろ抗凝固薬である。虚血による神経障害では知覚鈍麻は軽度虚血で、運動機能障害は重度虚血で生じることが多く、より早期の血行再建を要する。血栓症は閉塞性動脈硬化症による狭窄に生じることが多く、血栓除去のみならず早期の狭窄の解除が再発予防に不可欠な場合もある。
認定試験対策ゼミナール -脈管専門医・血管診療技師・脳神経超音波検査士-
2006年、血管外科学会、脈管学会、静脈学会の3学会構成(2014年からは日本動脈硬化学会も構成学会の一つとなる)による血管診療技師認定機構が発足し、日本におけるCVT(血管診療技師)が誕生した。発足から着実にCVT者数は増え、日本にその地位は根付き、活動の幅をどんどん広めてきた。そして『Vascular Lab』も、CVT誕生からの10年間、その歩みとともにCVTの方々に愛され続けてきた雑誌である。『Vascular Lab』は、いまはその役目をひとまず終えたが、その本誌の中で連載されてきた「認定試験対策ゼミナール」は、いまも変わらず必要としている人が多くおられ、復活を願う声が多く寄せられた。これを受け、同連載を、新しいウェブマガジンで提供していくこととした。
本連載は、血管診療の第一線で活躍する医師や、CVTを取得し全国で活躍する技師の方々に、これからCVTや専門医を取得するために勉強をされる皆さまのために、試験の傾向や対策、臨床で必要とされる知識などを問題形式でご執筆いただいている。
これからの未来、多くのCVT・専門医が全国で活躍し、脈管疾患検査が発展していくことを願う。
324円/1記事(税込)
毎月10日発行(著者および編集の都合により発行が前後することがございます)
筆者プロフィール
土田博光:誠潤会水戸病院/小谷敦志:近畿大学医学部奈良病院/尾崎俊也:医療法人清祥会川上内科/駒井宏好:関西医科大学総合医療センター/浅岡伸光:八尾市立病院/春田直樹:たかの橋中央病院
土田博光/小谷敦志/尾崎俊也/駒井宏好/浅岡伸光/春田直樹ほか