認定試験対策ゼミナール -脈管専門医・血管診療技師・脳神経超音波検査士-
執筆者:尾崎俊也(社団医療法人トラストクリニック 臨床検査課長)
監修:松尾 汎(医療法人松尾クリニック理事長・松尾血管超音波研究室室長)
今回の予想問題出題のねらい
日本超音波医学会の『超音波による頸動脈病変の標準的評価法』が8年ぶりに日本脳神経超音波医学会と共同で改訂され、2月に公示されました。第14回に引き続き頸動脈超音波検査領域について、今回は頸動脈疾患の臨床評価について出題します。
受験者へのアドバイス
頸動脈超音波検査は、動脈硬化に伴う狭窄および閉塞病変の評価が最も重要であるが、その他の疾患として、血管炎、動脈瘤や解離、さらに術後の評価などの知識も必要とされる。今回の改訂では、この点に関しても詳細に記載されており、出題の可能性が高いことが予想されます。必ず『超音波による頸動脈病変の標準的評価法2017』は熟読して認定試験に臨んでください。
■予想問題
■問題1 以下の内頸動脈狭窄病変の評価について正しいものはどれか?
解答1 ⑤
① 狭窄率の定量評価は、狭窄部短軸断面でプラークの占有率(面積狭窄率)が50%以上の場合に行う。その際は、最大狭窄部の収縮期最大血流速度(PSV)を用いて、NASCET狭窄率を推定評価することを必須とする。
② 狭窄部の収縮期最大血流速度(PSV)によるNASCET狭窄率の推定は、125または130cm/sで50%以上、200または230cm/sで70%以上と診断される。
③ 内頸動脈狭窄部の収縮期最大血流速度(PSV-ICA)と同側の、総頸動脈の収縮期最大血流速度(PSV-CCA)との比(PSV-ICA /PSV-CCA)によるNASCET狭窄率の推定は、2以上で50%以上の狭窄、4以上で70%以上の狭窄が疑われる。
④ 面積狭窄率の計測部位は、プラークの占有率が最も大きい部位ではなく、狭窄部内腔面積の最も小さい部位で計測する。
⑤ 面積狭窄率の計測トレースは、狭窄部内腔面積は内膜内輪で、リファレンスの血管面積は外膜内輪で計測する。その際、遠位壁は境界線の上を、近位壁は境界線の下を通るトレースラインで面積を計測する。
認定試験対策ゼミナール -脈管専門医・血管診療技師・脳神経超音波検査士-
2006年、血管外科学会、脈管学会、静脈学会の3学会構成(2014年からは日本動脈硬化学会も構成学会の一つとなる)による血管診療技師認定機構が発足し、日本におけるCVT(血管診療技師)が誕生した。発足から着実にCVT者数は増え、日本にその地位は根付き、活動の幅をどんどん広めてきた。そして『Vascular Lab』も、CVT誕生からの10年間、その歩みとともにCVTの方々に愛され続けてきた雑誌である。『Vascular Lab』は、いまはその役目をひとまず終えたが、その本誌の中で連載されてきた「認定試験対策ゼミナール」は、いまも変わらず必要としている人が多くおられ、復活を願う声が多く寄せられた。これを受け、同連載を、新しいウェブマガジンで提供していくこととした。
本連載は、血管診療の第一線で活躍する医師や、CVTを取得し全国で活躍する技師の方々に、これからCVTや専門医を取得するために勉強をされる皆さまのために、試験の傾向や対策、臨床で必要とされる知識などを問題形式でご執筆いただいている。
これからの未来、多くのCVT・専門医が全国で活躍し、脈管疾患検査が発展していくことを願う。
324円/1記事(税込)
毎月10日発行(著者および編集の都合により発行が前後することがございます)
筆者プロフィール
土田博光:誠潤会水戸病院/小谷敦志:近畿大学医学部奈良病院/尾崎俊也:医療法人清祥会川上内科/駒井宏好:関西医科大学総合医療センター/浅岡伸光:八尾市立病院/春田直樹:たかの橋中央病院
土田博光/小谷敦志/尾崎俊也/駒井宏好/浅岡伸光/春田直樹ほか