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最終回 「オズボーンのリスト」で、アイデアと活気のあふれる会議にしよう!

悩めるスタッフ・看護管理者のための “かんたん”フレームワーク思考 入門編

最終回 「オズボーンのリスト」で、アイデアと活気のあふれる会議にしよう!

〈はじめに〉

 問題や解決すべき状況が共有できていても、「それに対して何をすればよいか」というアイデアがなかなか出てこないというケースはよくあります。そんなときは往々にして、すっかり行き詰まった暗い雰囲気になりがちですし、その雰囲気によって参加者がいっそう発言しにくくなるという悪循環に陥ります。

 そもそも、何のヒントもなく、フレームワークやツールも用いずに、次々とよいアイデアを出すというのはほぼ不可能といってよいでしょう。「何とかひねり出そう」という気合いだけでアイデアが出てくれば、苦労はありません。

 アイデアを出そうという局面になったときに、ぜひ思い出して使っていただきたいのがアレックス・F・オズボーンが考案した「オズボーンのリスト」です。これを使って考えれば、アイデアがすばやく、そしてもれなく参加者から出てくるようになります。オズボーンはアイデア出しの会議手法として有名な「ブレインストーミング」も考案しましたが、私の経験では「オズボーンのリスト」のほうが「ブレインストーミング」よりもはるかに使い勝手がよく効果的です。もちろん、個人で考えるときでも会議でも使えます。


“何のヒントもなく、フレームワークやツールも用いずに次々とよいアイデアを出すのはほぼ不可能……。”


〈スタッフの悩みごと〉

 半年前から、看護部内で「ヒヤリ・ハット・ミーティング」が始まりました。私たちのような若手から中堅までの看護師が集まって、定期的にディスカッションを行っています。会議の趣旨はとてもよくわかりますし、大切な取り組みだと思うのですが、議論が停滞しがちで、なかなかアイデアが出ずに困っています。せっかくの会議なので、もっと会議が活性化し、アイデアが出てくるようにしたいと思っているのですがうまくいきません。

 そのような沈滞ムードのせいもあって、せっかくの会議なのに「忙しいのに……」という雰囲気を漂わせ、会議中も時計を気にする素振りをみせて、本気で取り組もうとしない人も出てきました。また、誰かがアイデアを出しても、ネガティブな反応によって場がしらけてしまうときもあります。どうしたらいいでしょうか? (27歳・勤続5年)

〈まずはスタッフの立場を考えてみよう〉

 通常業務外にもかかわらず、会議に前向きに取り組もうとしている姿勢は、評価してあげたいものです。皆がバラバラに通常業務を前例どおり繰り返しているだけでは、なかなか全体としての進化は望めません。それぞれの経験や気づきを共有し、問題を発見し、その解決や改善を図ろうという取り組みは非常に大切で、一般企業においても長期にわたって好業績を上げている企業ほどこのような取り組みに熱心です。

 さて、〈若手スタッフの悩みごと〉でのスタッフの思いは、たくさんのアイデアが出る、活気ある会議に変えていきたいということだと思います。つまり、会議が重要だとわかってはいても、アイデアが出ない状態が続いていて、だんだんと参加者のモチベーションも低下していき、会議への参加自体に後ろ向きな人も出てきたという状況を何とかしたいということです。ただ、そのような気持ちだけではなかなか状況を変えられません。「楽しくやりましょう」「もっと気軽に発言してください」と呼びかけたところで、そう簡単にアイデアは出てくるものではないからです。

 会議を活性化するためには、ヒントやルールといったガイドラインを設定してみましょう。沈滞ムードになりがちな会議も、ヒントやルールが提示されると、参加者の思考や意欲に刺激を与え、発言も多くなり、姿勢や発言も前向きになっていくものです。


“ヒントやルールを提示すると、参加者の思考や意欲に刺激を与え、前向きな発言や姿勢になる。”


悩めるスタッフ・看護管理者のための “かんたん”フレームワーク思考 入門編

 「言われたとおりにしているはずなのに、どうして怒られるの!?」(スタッフの声)「わかっていると思っていたのに、どうしてうまく伝わらないの!?」(主任・師長の声)……病院の理念や看護部の方針のもとで、経営意識をもってコスト管理、人材育成、患者対応、時間管理を行うように求められる師長、主任、スタッフの悩みには深くて重いものがあります.そのようななか、「自分で考えて、動けるようになって」という言葉は、誰もがよく聞く言葉かもしれません。
 では、日常業務のなかでどのように「考えて動く」とベストなパフォーマンスを発揮することができるのでしょうか? そのためには、状況がどうなっているか、相手がどのように考えているのかを知り、自分なりに整理したうえで言動に移していく必要があります。そして自分の考えや話を整理するためには、フレームワーク(考え方の枠組み)を生かした考え方、つまり「フレームワーク思考」を自由自在に使えるようになることが大切なのではないでしょうか。
 このコンテンツでは、大好評を博している『マネジメントの基本概念が図解でわかる 速習!看護管理者のためのフレームワーク思考53』(「ナーシングビジネス」2015年秋季増刊)の著者、組織人事コンサルタントの川口雅裕先生がフレームワークを使った考え方や話し方を楽しくわかりやすく解説します。「フレームワーク思考」を身につければ、コミュニケーションやマネジメントがさらに楽しくなります。よくあるナースの悩み事も「フレームワーク思考」を使ってサラっと解決しましょう!

324円/1記事(税込) 毎月10日発行

筆者プロフィール

川口 雅裕

一般社団法人「人と組織の活性化研究会」世話人、NPO法人「老いの工学研究所」研究員

川口 雅裕

京都大学教育学部卒。1988年株式会社リクルートコスモスに入社。人事部門で組織人事・制度設計・労務管理・採用・研修などに携わった後、経営企画室で広報・経営企画を担当。退社後、2003 年より組織人事のコンサルティング、講演、研修などの活動を行う。一般社団法人「人と組織の活性化研究会」世話人、NPO法人「老いの工学研究所」研究員。著書『だから社員が育たない』(労働調査会)、『顧客満足はなぜ実現しないのか』(JDC出版)など。

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