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第9回 「SMARTの法則」で、目標をうまく設定しよう!

第9回 「SMARTの法則」で、目標をうまく設定しよう!

〈はじめに〉

 チームにとっても個人にとっても、目標をどのように設定するかはとても重要なテーマです。目標の有無やその内容は、仕事の進め方や出来不出来だけでなく、スタッフの行動や士気にも大きく影響するからです。目標設定は組織全体が同じ方向を向いて、同じ到達点を目指して働くためにも、また個々が緩みなくやる気をもって仕事に取り組むためにも、惜しみなく時間をかけて取り組むべき重要な仕事といえます。

 しかしながら、仕事にはさまざまな側面があり、学校の試験やスポーツの成績のように数値化できるものばかりではないため、目標設定は容易ではありません。現実に、半年後にその成否を評価しにくいような抽象的な記述、毎回似たような内容・表現の目標を書いているといったケースをよくみかけます。

 目標を設定する際に効果的なのは、「SMARTの法則」というフレームワークです。「SMARTの法則」には、①Specific(具体的である。わかりやすい)、②Measurable(測定可能である)、③Agreed-upon(合意がとれている)、④Realistic(現実的である。難易度がちょうどよい)、⑤Timely(期限が設定されている)という5つの観点があります

 今回は「SMARTの法則」を使って、目標をうまく設定するための考え方について紹介します。



“「SMARTの法則」で、目標をうまく設定しよう!”


〈スタッフの悩みごと〉

 私のいる看護チームでは、半年ごとに上司と面談して目標の設定を行っています。例えば、患者さんの対応に関すること、業務改善、自分の知識やスキル、後輩の指導などについて目標を設定しています。チーム全体の目標もあります。

 それはいいことだと思うのですが、その目標が日々、意識されているかどうかといえばそうでもありませんし、半年経って達成できたかどうかもあまり明確ではありません。結局のところ、毎回同じことを繰り返しているだけではないかと感じてしまいます。これは、個人の目標だけでなく、チームの目標についても同じです。

 もちろん、だからといって目標を設定する必要がないとは思いません。ただ、せっかく目標を設定するのであれば、それを目指して皆がやる気になったり、成長したりするという結果があるべきだと思います。学校のテストで何点を取るといった目標とは違って、仕事で目標を設定するのは難しいことなのでしょうか?(27歳・勤続4年)

〈まずはスタッフの立場を考えてみよう〉

 一般には、「必要性は感じないが、言われたからやっている」といった意識で目標を設定しているだけだといったスタッフも少なくないと思います。そのようななか、目標に意義を感じ、できるだけ設定した目標がチームにとっても自分にとっても機能するものであってほしいと考えているこのスタッフは、問題意識が高く、成長意欲が感じられます。

 看護の現場だけではありませんが、昔は上司が「これをやって」「あれをやって」といった単純な業務指示を行い、メンバーは何も考えずに「わかりました」とその指示を受けて仕事をするのが当たり前でした。また、勉強でもスポーツでも、親や教師から時には理不尽と思えるような負荷を与えられ、それに耐えてがんばる子が評価されていました。

 しかし、今の教育では、必要以上の負荷や合理性・根拠に欠ける理不尽な評価は排除され、子どものころから合理的な教育がなされています。したがって、仕事においても、上司は「何のためにそれをやるのか」といった目的・目標を含めた指示をスタッフに出すことが必要な時代になっています

 このスタッフの質問からは、「こういう目標を達成するために、私はこの仕事をやっている」といった日常業務と目標とを関連付けたいという気持ちも感じられます。若手スタッフにとっては、日常業務と目標の関連付けがモチベーションになるのだと思います。この意味でも、目標をうまく設定することは非常に重要なのです。


“若手スタッフにとっては、日常業務と目標の関連付けがモチベーションになる。”


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悩めるスタッフ・看護管理者のための “かんたん”フレームワーク思考 入門編

 「言われたとおりにしているはずなのに、どうして怒られるの!?」(スタッフの声)「わかっていると思っていたのに、どうしてうまく伝わらないの!?」(主任・師長の声)……病院の理念や看護部の方針のもとで、経営意識をもってコスト管理、人材育成、患者対応、時間管理を行うように求められる師長、主任、スタッフの悩みには深くて重いものがあります.そのようななか、「自分で考えて、動けるようになって」という言葉は、誰もがよく聞く言葉かもしれません。
 では、日常業務のなかでどのように「考えて動く」とベストなパフォーマンスを発揮することができるのでしょうか? そのためには、状況がどうなっているか、相手がどのように考えているのかを知り、自分なりに整理したうえで言動に移していく必要があります。そして自分の考えや話を整理するためには、フレームワーク(考え方の枠組み)を生かした考え方、つまり「フレームワーク思考」を自由自在に使えるようになることが大切なのではないでしょうか。
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筆者プロフィール

川口 雅裕

一般社団法人「人と組織の活性化研究会」世話人、NPO法人「老いの工学研究所」研究員

川口 雅裕

京都大学教育学部卒。1988年株式会社リクルートコスモスに入社。人事部門で組織人事・制度設計・労務管理・採用・研修などに携わった後、経営企画室で広報・経営企画を担当。退社後、2003 年より組織人事のコンサルティング、講演、研修などの活動を行う。一般社団法人「人と組織の活性化研究会」世話人、NPO法人「老いの工学研究所」研究員。著書『だから社員が育たない』(労働調査会)、『顧客満足はなぜ実現しないのか』(JDC出版)など。

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