第5回 腎動脈の基本的走査と狭窄症例
症例から学ぶ ビギナーのための血管超音波検査テクニック/エキスパートのための血管超音波検査テクニック
腎動脈エコービギナーのための
超音波検査テクニック
東邦大学医療センター大森病院 臨床生理機能検査部副技師長
八鍬恒芳
腎動脈を腹部正中からスキャンするには、腹部大動脈の位置と腹腔動脈、上腸間膜動脈、腎動脈の分岐位置を把握できるようなプローブ走査が必要です。以下に基本的なスキャンの手順を記します。
心窩部正中の横断像にて、腹部大動脈を描出します。プローブを上方に傾けると、中枢から順に腹腔動脈分岐部、上腸間膜動脈分岐部が、プローブを垂直方向に立てるように角度を変えると左右の腎動脈が描出されます(tilting scan)1)(図1)。患者の体位は、腹圧がかからないように腕を胸部付近に軽く置いてもらい、必要に応じて膝を立てるなどするとよいでしょう。カラードプラガイド下でスキャンを行う際は、カラードプラ流速レンジの初期設定は40~50cm/s程度で行うと、比較的折り返しのない明瞭な血流表示が行えます。