第18回(最終回) 心臓・基本的計測 ~心エコー図検査における基本的計測法:大臨技お勧めルーチン検査法~
症例から学ぶ ビギナーのための血管超音波検査テクニック/エキスパートのための血管超音波検査テクニック
心臓・基本的計測:ビギナーのための超音波検査テクニック
西宮渡辺心臓脳・血管センター
臨床検査科・臨床工学科・放射線科
川崎俊博
市立豊中病院 臨床検査部部長
山内一浩
心エコー図検査における計測値は、心疾患の診断や治療の効果判定に有益ですが、正しい断面、かつ正しい計測方法で測定しないと、誤った測定値がひとり歩きしてしまい、正しい診断に導くことができなくなります。また施設内で複数人の検者が同じ計測値を出せることも重要なため、施設内での計測手順の統一は大切です。今回は、大阪府臨床検査技師会(通称:大臨技)生理検査部門でお勧めしている「大臨技お勧めルーチン検査法」について解説します。
計測における基本事項
①距離計測(図1)
(1) leading edge法(leading edge to leading edge)
超音波は、各組織の境界面から反射したエコーを画面に表示したもので、通常“すそ引き”と言われる、境界エコー後方が厚くなる現象が出現します。この“すそ引き”の厚さはエコーゲインによっても左右され、再現性よく計測するために境界面の上から上まで計測する手法であり、Mモード法による計測によく用いられています。
(2) 内腔計測法(trailing edge to leading edge)
断層法により計測の場合によく用いられる方法で、いわゆる内から内までを計測します。例えば、左房径であれば大動脈後壁はtrailing edge、左房後壁はleading edgeで計測します。最近の装置は、適性ゲインであればleading edge法と差はないと言われています。