第6回 高血圧性心不全を診る
症例から学ぶ ビギナーのための血管超音波検査テクニック/エキスパートのための血管超音波検査テクニック
心筋症・高血圧
ビギナーのための超音波検査テクニック
西宮渡辺心臓・血管センター 臨床検査技師 前田理瑠/
西宮渡辺心臓・血管センター 臨床検査科・臨床工学科・放射線科統括部長
川﨑俊博
2006年にアメリカ心臓協会(American Heart Association:AHA)による心筋症の分類が発表され、病変の首座が心臓にある一次性心筋症と全身疾患の心臓病変である二次性心筋症に大別し、さらに一次性心筋症を遺伝性、混合性、後天性に分類しました(図1)1)。
日本では、1985年に作成された『心筋症の診断の手引き』で「特発性心筋症」を拡張型心筋症、肥大型心筋症、拘束型心筋症の3型に分類しており2)、拡張型心筋症は、高血圧や弁膜疾患、冠動脈疾患などの基礎疾患が存在しないにもかかわらず、左室の拡大とび漫性収縮障害をきたす疾患と定義されています。拡張型心筋症と臨床的に類似している疾患として、虚血性心筋症、高血圧性心筋症、肥大型心筋症拡張相、心サルコイドーシス、心筋炎などの二次性心筋症があります。日常的によく遭遇する高血圧性心筋症のエコー所見について説明します。