Medimaga|メディカのオンラインマガジン

すべての医療従事者を応援する
オンラインマガジン配信プラットフォーム

第6回「病識欠如」の夫婦

認知症治療30年の“ケアマネ医師”による介入困難事例へのアプローチ

第6回「病識欠如」の夫婦

●受診や検査を嫌がる家族に、いかに受診を促すか

 くるみクリニックの西村です。今年もよろしくお願いします。


  家族を受診させたい人が予約の電話をかけてきたときに、「本人をどうやって連れて行けばいいのでしょうか?」と相談されることがよくあります。認知症の方を診察に連れてくる時、素直に来院する人はほとんどいません。

 それは、認知症という病気の特徴である「病識欠如」によるものです。自分では自分の症状が分からないという、特有の症状です。この病識欠如が存在すれば、アルツハイマー型認知症であるといっても過言ではありません。「病気が疑われるから、病院に行きましょう」と促しても、「自分は病気ではない」と断られてしまうのです。

 このため、家族の認知症を疑っても、医療機関につなげるのは、なかなか難しいものです。認知症かどうか分からない場合もあります。家族も、自信がないと強く勧められません。受診や検査を嫌がる家族に、受診を促す良い方法はないのでしょうか。

 病院に連れて行くこと以外なら、医療機関受診の前段階として、専門家に相談する方法がいくつかあります。保健所、地域包括支援センターなどに、相談してみてください。医師などの専門家による相談会の開催や、自宅訪問してくれるところがありますので、利用していただきたいです。 また、全国の「認知症疾患医療センター」には、家族相談を受け付けている「認知症カフェ」といったサービスもあります。まずは家族だけで「認知症カフェ」に参加してみるのもよいと思います。

 そうして、何とか受診につながっても、その後の通院が続くかどうか、それがまた問題です。今回は、そんなケースについてご紹介したいと思います。

認知症治療30年の“ケアマネ医師”による介入困難事例へのアプローチ

324円/1記事(税込) 毎月1日発行(著者および編集の都合により発行が前後することがございます)

筆者プロフィール

西村知香

くるみクリニック 院長

西村知香

  • facebook
  • twitter
  • はてなブックマーク