第10回 心カテ中の注目すべきタイミングとポイント!
心カテスタッフのための“つなげる”マガジン『α』
はじめに
心カテ症例中の仕事はたくさんあります。そんななかでも、バイタルサインや患者さまの様子を観察することは私たちのいちばんのお仕事になります。常にこれができるといいのですが、そういうわけにもいきません。心カテ症例中には患者さまの状態が変化しやすい場面があります。
今回は、みなさんが大切なポイントを見逃さないために、どんなときに、そしてどんなことに注目すべきなのかをお話ししたいと思います。これを知っていれば心カテ症例中にもっと効率よく動くことができるのではないでしょうか! お役に立てれば嬉しいいです!
心カテは入室からはじまる
カテスタッフは、心カテ室の入り口で患者さまをお出迎えすることになると思います。まずその時の患者さまの表情はとても大切です。患者さまの表情が固く緊張している様子ならば、カテスタッフはより笑顔でお迎えするようにしましょう。緊張すると身体に力が入り、いつもよりも血圧が高くなってしまいます。何よりも緊張は迷走神経反射につながります。患者さまの緊張を和らげることは、起こり得る合併症を未然に防ぐことができるかもしれません。全身のチェックはこの時に
造影剤アレルギーの症状の一つとして発疹発赤があります。また、その部分の膨隆疹も特徴の一つです。心電図の電極や血圧計マンシェット装着の際には、すでに全身にこのような症状が出ていないことをチェックをしましょう。首周りや脇は特に症状が出現することが多い印象があります。注意深く観察しましょう。観察した上で、痒みなどを訴えられた場合や、カテ終了時の電極・マンシェットを外す際に変化がないかチェックします。バイタルサインのはじめのチェック
カテ中バイタルサインは刻一刻と変化していきます(図1)。ポリグラフに、それぞれのバイタルサインが表示され、始めの数値・波形がベースとなります。必ずカテスタッフ全員が、そのベースのバイタルサインを確認しておく必要があります。各施設によってはバイタルサインの監視係が決まっていることもあるかもしれませんが、カテ中のバイタルサインの変動は、みんながモニターに敏感になっていると、患者さまの状態変化に対して“早期発見”“早期対応”につながります。また、最初の血圧に高い・低いがあれば必ず施行医に伝えましょう。血圧が低ければ穿刺部の触れが弱くなることもあります。また、冠動脈造影直前のニトロールの投与にもより慎重にならなければならない場合も考えられます。逆に高ければシース挿入時にニトロールの投与を考慮します。また冠動脈造影直前のニトロールを多めに投与することも考慮されます。そして、シース抜去時にも高血圧が続いた場合には、降圧剤を投与してからシース抜去する場合もありますので、血圧は特に施行医を含めて情報を共有しましょう。
麻酔からシース挿入
麻酔からシース挿入は、患者さまの痛みを感じる第一関門(図2)。このとき患者さまの緊張はMaxになりまります。一つひとつ丁寧に説明をするようにしましょう。もちろん施行医から患者さまへの声かけも重要ですが、我々コメディカルからも、特に看護師さんからの声かけは、「カテ中に何かあったら声を掛けてくれる。自分のことを見ていてくれる」という安心感に繋がります。麻酔の際には「チクっとしますよ」とか「指先がしびれませんか?」「すぐに麻酔が効きますからね」などと声を掛けると緊張が少しは安心に変わっていくのではないかと思います。それと同時にバイタルサインに注目してください。特に緊張が増した場合には、心拍数の上昇が認められ、逆に心拍数が低下した場合には、迷走神経反射が疑われます。血圧の測定と、さらなる声かけをして症状を聞き出しましょう。