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第6回 STの上昇?!と低下?!

心カテスタッフのための“つなげる”マガジン『α』

第6回 STの上昇?!と低下?!

はじめに

カテ室では、みんなが苦手だけど、でもどうしても見なくてはならないものがあります。それは心電図。冠動脈と心電図は切っても切れない存在となっています。

今回は心筋虚血の心電図についてお話しします。

ST変化?!

図1

心筋虚血により心筋梗塞になった場合、心電図がいち早くわれわれに教えてくれます。心電図変化でもっとも親しみがあるのは「STの変化」ではないでしょうか?(図1) 心カテ中は「ST上がってます!」ってよく耳にする言葉です。では、この「STが上がる」もしくは「STが下がる」ってどのようなメカニズムで変化が起こっているのでしょうか? そして、「STが上がる」って言うけれど、本当に「STが上がっている」のでしょうか?!

心筋壊死は心臓の内側から

図2

動脈硬化や冠動脈の攣縮によって、冠動脈の血流が少なくなってしまった場合、心筋は虚血状態になってしまいます。それによって、心筋は徐々に、徐々に壊死していきます。その影響は冠動脈の末端部分から始まっていきます(図2)。


イラストの左側が心臓の内側「心内膜」、右側が心臓の外側「心外膜」とします。冠動脈は心筋の心外膜側にメインの血管があり、心筋の外から内側に向けて、心筋を養う血管が延びていっていることになり、冠動脈の末端側は心筋にとって心内膜側となるのです。つまり、心筋虚血は心内膜側から起こっていくということになります。


傷害電流発生!

図3

何らかの要因により、心筋虚血が心内膜側から始まると、心筋内で異常な電流が発生します。それが「傷害電流」と呼ばれています(図3)。その傷害電流は傷害のある部分から傷害のない部分に向かって電流が流れます。つまり心内膜側から心外膜側に向かって電流が流れることになります。

心カテスタッフのための“つなげる”マガジン『α』

業務習得のためには、まず基礎知識が必要なのは、心カテ室に限らずどんな仕事場であっても当たり前。さらに心カテスタッフとして活躍するためには日々経験することの中で常にスキルを習得しレベルアップを図らなければなりません。でも、これを同時に行うわけじゃないから、少し前に学んだ基礎知識と、今日学んだスキルがくっつかないのです。これをくっつけるための「なぜ?」「どうして?」という視点を大切にしながらハナシを展開していきます。

324円/1記事(税込) 毎月1回20日発行(著者および編集の都合により発行が前後することがございます)

筆者プロフィール

野崎 暢仁

医療法人新生会総合病院高の原中央病院 臨床工学科技師長/西日本コメディカルカテーテルミーティング(WCCM)世話人・事務局長

野崎 暢仁

現在臨床工学技士として総合病院で働いています。その仕事の一つである心カテ業務は、臨床工学技士になってからずっと携わっています。飽き性で、何事も続かない性格の私ですが、心カテは唯一と言ってもいいくらいいまだに飽きていません(笑)。そんな私の“ライフワーク”とも言える心カテについて、これからたっぷりとお話していきたいと思います。お付き合いのほどよろしくお願いします!

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