第1回 心カテスタッフの心得
心カテスタッフのための“つなげる”マガジン『α』
はじめまして
みなさん、こんにちは。野崎です。今回から始まる当連載をご購読いただきありがとうございます!まずは簡単に私のことを少しだけ紹介させてください。私は現在臨床工学技士として総合病院で働いています。その仕事の一つである心カテ業務は、臨床工学技士になってからずっと携わっています。飽き性で、何事も続かない性格の私ですが、心カテは唯一と言ってもいいくらいいまだに飽きていません(笑)。そんな私の“ライフワーク”とも言える心カテについて、これからたっぷりとお話していきたいと思います。お付き合いのほどよろしくお願いします!
心カテ室のいちばんの魅力
さて、第1回は「心カテスタッフの心得」についてお話ししたいと思います。みなさん、心カテ室のいちばんの魅力は何だと思いますか。私は「たくさんの職種(スタッフ)が関わっていること」だと思っています。心カテ室には医師や看護師、診療放射線技師、そして臨床工学技士、臨床検査技師などが従事しています。心カテは、さまざまなプロフェッショナルが集まり、それぞれの視点から一つの目標に向かってアプローチしていきます。だから、ちゃんと一つになったときに最良の治療が提供できるチームとなるのですね。医師だけではできませんし、1人の優れたスタッフがいるだけでもダメ、それぞれがバラバラになってはできないのです。つまり、心カテは単独プレーでは良い結果を導くことはできないということです。それぞれがチームメンバーを尊敬し、協力し合い、支え合うことによって、はじめてクオリティの高い治療を提供するチームになっていくのです。そんな心カテ室での仕事に、私はとても魅力を感じています。
それぞれのメンバーは、職種の専門性を極め、チーム内での役割を理解し、自身が果たすべきポジションを明確化することで、チームの一員として活躍することができます。コミュニケーションスキルは自身がチームに加わるためにも、患者さんを守るためにも必要なスキルです。
心カテ室での業務は他のメンバーとともにチームで行うため、メンバー個々の知識が乏しくとも症例が進むこともあります。チームメンバーで補い合うことができるのもチームで取り組む大きなメリットの一つです。しかし、心カテ室では患者さんの急変に遭遇することも少なくはありません。いざという時、メンバー一人ひとりの対応に遅れがあれば、リカバリー治療のスムーズな進行に影響が生じてしまいます。やはり、あらゆる事態に対応するためには個々のスキルは必要です。そうした一人ひとりの知識・技術がチームの力となり、安心安全な治療を提供できるチームへと成長していくことができるのです。
心カテ室で必要とされるスキルのなかには、経験が重要な要素となるものもあるため、若いスタッフにすべてにおいて高いスキルを要求することはできません。それをカバーするのがチームリーダーです。メンバーそれぞれのスキルを知ることにより、円滑に適切な指示を出すことができます。それが互いを助け合うことになり、チームプレーがスムーズになっていくのです。そうしたチームとしての成長には、「心カテ室の教育プログラム」が必要であり、それぞれのスタッフがいまどのレベルのスキルを有しているのかを把握することで、信頼して任せることができ、そして助け合うことができるはずです。
この連載では心カテ室スタッフが有しておくべきスキルについてまとめ、みなさんに「教育プログラム」としても活用してもらえるように、まとめながら執筆していきたいと思っていますのでお楽しみに。
〔図1 メンバーの手を取り合いチームで取り組む〕