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第8回 動脈硬化はこうしてできる!

心カテスタッフのための“つなげる”マガジン『α』

第8回 動脈硬化はこうしてできる!

はじめに

今回は、少しだけ視点を変えてお話を進めていきましょう。私たちが治療している狭窄した血管は動脈硬化によって細くなっています。では、その動脈硬化はどうやって出来上がっていくのでしょうか? 今回は、動脈硬化の出来かたについてお話していきます。



リスクファクター

動脈硬化のリスクファクターとして、脂質異常症・高血圧・糖尿病・喫煙などが挙げられます。では、これらはなぜリスクファクターになるのかをまず考えてみます。


脂質異常症

脂質異常症とは、悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロールが高く、善玉コレステロールと呼ばれるHDLコレステロールが低い状態のことを言います(図1)。LDLコレステロールが120〜139mg/dLであれば境界域LDLコレステロール血症、140mg/dL以上で高LDLコレステロール血症である状態と言われています。



図1


また、HDLコレステロール血症が40mg/dL以下であった場合には、低HDLコレステロール血症と言われます。また、LDLコレステロールをHDLコレステロールで割った値をLH比と呼びます。この値が1.5以下であった場合には、コレステロールが血管内に蓄積している可能性は低い。つまり動脈硬化によって血管が狭窄しいる可能性は低いと言えます。しかし、LH比が2.0以上になった場合には、コレステロールが血管内に蓄積している(動脈硬化があり血管を狭窄させている)可能性が高いと言える状態になります。

それにも増して、LH比が2.5以上になれば血管内に蓄積しているコレステロールが血管内で破裂するリスクが非常に高い状態であるということが言えます。血液内にLDLコレステロールが多く含まれていてHDLコレステロールが少なければ脂質異常症となり、動脈硬化の一つのリスクファクターとなるのです。


高血圧・糖尿病・喫煙

高血圧になれば動脈血管には高い圧がかかります。高血圧症の方は常に動脈血管に高い圧がかかった状態になります。動脈血管は外膜・中膜・内膜の3層構造によって成り立っています。そのうち外膜は非常にしっかりとした構造でできており、血管自体がそう簡単には破れないように支えています。中膜はゴムのように弾力があり、血管自体にも弾力がもてるような構造となっています。血管の内側に存在し常に血液に接した位置にある内膜は非常にもろく繊細な構造となっています。

高血圧によって血管に高い圧がかかれば、いちばん弱い内膜に亀裂が入ってしまいます。糖尿病は高血糖によって組織をもろくしてしまいます。また、喫煙は血管を収縮させ異常なストレスを与えてしまいます。これらによって動脈血管の内膜にいずれも亀裂を入れてしまいます。

心カテスタッフのための“つなげる”マガジン『α』

業務習得のためには、まず基礎知識が必要なのは、心カテ室に限らずどんな仕事場であっても当たり前。さらに心カテスタッフとして活躍するためには日々経験することの中で常にスキルを習得しレベルアップを図らなければなりません。でも、これを同時に行うわけじゃないから、少し前に学んだ基礎知識と、今日学んだスキルがくっつかないのです。これをくっつけるための「なぜ?」「どうして?」という視点を大切にしながらハナシを展開していきます。

324円/1記事(税込) 毎月1回20日発行(著者および編集の都合により発行が前後することがございます)

筆者プロフィール

野崎 暢仁

医療法人新生会総合病院高の原中央病院 臨床工学科技師長/西日本コメディカルカテーテルミーティング(WCCM)世話人・事務局長

野崎 暢仁

現在臨床工学技士として総合病院で働いています。その仕事の一つである心カテ業務は、臨床工学技士になってからずっと携わっています。飽き性で、何事も続かない性格の私ですが、心カテは唯一と言ってもいいくらいいまだに飽きていません(笑)。そんな私の“ライフワーク”とも言える心カテについて、これからたっぷりとお話していきたいと思います。お付き合いのほどよろしくお願いします!

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