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広がるつながる バスキュラーナーシング 第10回:「下肢創傷における診断と治療」「下肢潰瘍の看護ケアと血流障害」ほか

広がるつながる バスキュラーナーシング

広がるつながる バスキュラーナーシング 第10回:「下肢創傷における診断と治療」「下肢潰瘍の看護ケアと血流障害」ほか

下肢創傷における診断と治療


神戸大学大学院医学研究科

形成外科学教授
寺師浩人




 かつて、慢性創傷の三大疾患は褥瘡、静脈うっ滞性潰瘍、糖尿病性足潰瘍といわれていました。近年、それは変化しています。

 褥瘡に関しては、1998年の日本褥瘡学会設立以来、多職種(医師、看護師、薬剤師、栄養士、理学療法士、作業療法士、臨床工学技士など)が一同に会し、産官学が一体となり、ケア・治療・予防などが急速に発展し、褥瘡学が飛躍的に向上したことによってその発生率は減じました。ところが、他の慢性創傷である静脈うっ滞性潰瘍や糖尿病性足潰瘍、さらに重症下肢虚血(critical limb ischemia:CLI)を呈するに至る末梢動脈疾患(peripheral arterial disease:PAD)については、同様に多職種でのアプローチが必要であるにもかかわらず、いまだチーム医療には至っていないのが現状です。褥瘡を除けば、慢性創傷の残る主疾患のほとんどが下肢に発症するため、医療、医学のみならず医療経済を含めて、産官学が一体となって取り組むべきこれからの課題が下肢慢性創傷と言えます。


疫学と現状

 下肢慢性創傷の疫学は少ないままです。本邦における糖尿病が強く疑われる人はすでに1,000万人を超え、さらに増加中です。ある統計で糖尿病の約2%に足潰瘍が存在することから類推すれば、本邦では糖尿病があって足部に創傷を有する人は少なくとも20万人です。また現在、本邦では透析患者数は約32.5万人(2015年末現在)で、これも糖尿病人口増加と相まって増加しています。一方、本邦には足病医を育成する足病学部がありません。

広がるつながる バスキュラーナーシング

324円/1記事(税込) 毎月5日発行

筆者プロフィール

土田博光/多田誠一/松尾汎/長利麻衣子/富田則明/溝端美貴ほか

土田博光(誠潤会水戸病院)/多田誠一(長崎血管外科クリニック)/松尾汎(松尾クリニック)/長利麻衣子(常滑市民病院)/富田則明(松戸神経内科)/溝端美貴(大阪労災病院)ほか

土田博光/多田誠一/松尾汎/長利麻衣子/富田則明/溝端美貴ほか

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