広がるつながる バスキュラーナーシング 第6回:「深部静脈血栓症の診断と治療」「深部静脈血栓症の予防と看護」ほか
広がるつながる バスキュラーナーシング
深部静脈血栓症の診断と治療
新富士病院
外科診療部長兼血管外科センター長
花田明香
深部静脈血栓症(deep vein thrombosis:DVT)とは
深部静脈内に血栓が生じて閉塞し、還流障害をきたした状態です。主に下肢静脈に起こります。「エコノミークラス症候群」とも関連して知られ、重症な合併症である肺血栓塞栓症と併せて「静脈血栓塞栓症(venous thromboembolism:VTE)」とも呼ばれます。早期診断、早期治療が予後を左右するとされています。
1.深部静脈血栓症の診断
まずは症候や背景因子から、疑うことが重要です。
2.深部静脈血栓症の症状(表1)
下肢痛、腫脹、色調異常(チアノーゼ)、緊満痛
3.深部静脈血栓症の身体所見
①Homans(ホーマンズ)徴候:腓腹筋の運動痛
膝関節を伸展した状態で足関節を背屈させたときに、下腿後面に痛みを感じれば陽性です。
②Lowenberg(ローエンベルグ)検査:腓腹筋の圧痛
腓腹筋部をマンシェットで加圧すると低圧で疼痛が出現します。
③Luke's(ルークス)徴候
立位をとると、下肢の緊満感とチアノーゼが増強します。