第2回 運動器エコーの基礎①:装置の設定
運動器をエコーで診る!
検査装置の話
超音波検査装置は、装置本体、装置本体に接続するプローブ(探触子)、画像を出力するディスプレイやプリンタで構成されます。
プローブは超音波の送信と受信を担っています。
装置本体ではプローブから発信する超音波のコントロール、受信した超音波の情報を画像処理し、ディスプレイやプリンタ、記録媒体へ出力します。
ディスプレイやプリンタは、本体からの情報を適正に表示する役目があります。
それぞれの特徴や設定方法を理解していないと、適正な画像表示や保存ができません。
1. プローブの種類と選択
心エコーでは、セクタ型プローブを、腹部エコーではコンベックス型プローブを使用します。血管や乳腺、甲状腺のエコーでは高周波のリニア型プローブを使用します。第1回でも述べたように運動器エコーでは、主として乳腺や甲状腺用にリニア型プローブを使用します。ここで一つ考えていただきたいのは、血管用のリニアプローブと乳腺や甲状腺用のリニアプローブでは、プローブの性質に差があるということです。血管用は、Bモードの画質に加え血流表示の感度も考慮した造りのプローブになっています。周波数を高くしすぎると血流表示の感度が悪くなるため、乳腺や甲状腺用と比較して周波数を抑えています。運動器では、血流よりもBモードの画質を重視するので、第一選択は、より周波数の高い乳腺や甲状腺用のリニア型プローブを使用します。
プローブの形状も工夫されていてホッケーのスティックのような形状のものや、プローブにボタンが割り振られているものなど、用途に応じて選択できます(図1)。
現在のプローブは広帯域の送受信をしていて、中心周波数近くの広い範囲の周波数を混ぜて送受信しています。1本のプローブの周波数を本体で数段階切り替えることが可能です。深い部分の観察の際は周波数を下げて、近位の観察の際には周波数を上げて検査できます。また、肩の関節唇や臀部の血腫など、深い部分の組織や病巣を観察したい場合には、プローブの形状や周波数を考慮して、周波数3~5MHz程度のコンベックス型やセクタ型のプローブを使用する場合もあります。