第1回 運動器エコーに挑戦する意味
運動器をエコーで診る!
今こそ運動器エコーを
運動器のエコー診療は、実は最近始まったことではありません。他の領域を追従するように、数十年前から使用していました。しかし運動器の領域では、X線、CT、MRIの画像が多く用いられ、エコーの利用は一部の関心のある医師に限られていました。運動器エコーが興味ある一部の医師の手を離れなかったことは、運動器エコーが発展しなかった原因の一つと言えるでしょう。整形外科医と関係が深かった放射線技師への啓蒙が進まなかったことが大きいと考えています。もう一つ広がらなかった原因が考えられます、それは、当時のリニア型プローブの画質が悪かったことです。
しかし、近年のリニア型プローブの目を見張る画質の向上は、「さあ。運動器を診なさい」と、言わんばかりです。現在では、リウマチ科、スポーツ整形外科、一般整形外科の領域でエコー検査が広まりつつあります。
関節リウマチ領域では、すでにガイドラインにエコーによる評価が掲載されていて、日本リウマチ学会でも、積極的にハンズオンセミナーが開催されています。また、ソノグラファーの登録制度も始まっていて、メディカルスタッフへの広がりも見られます。
スポーツ整形外科の領域では、スポーツを行っているフィールドでの判断や野球肘検診などで、なくてはならないモダリティとなっています。2020年東京オリンピックの際は、各会場の整形外科医はエコー装置を持って待機することも多いでしょう。
検診では、小児の股関節検診でも積極的に使用され、「虎の穴」的な集中セミナーも定期的に開催されて、こちらも広がりを見せています。
エコーは検査だけではなくインターベンションにも応用されていて、エコーガイド下の除痛の注射や神経ブロックにも利用されています。特に神経ブロックに関しては麻酔科学会や超音波メーカーも積極的にセミナーを開催しています。
エコーは、運動器領域の「診・療」の一翼を担うアイテムとなりつつあることに間違いありません。